きみのふいうち


メールで指示があったとおり、はじめに全体の前でひとりずつ話して、そのあとはグループごとにフリートーク的に質疑応答をするというもの。

はじめに話す順番も、グループ分けもすでに決められていた。


午後の研修開始時刻になり、いよいよ研修担当者の進行で研修が始まると、たくさんの目が自分たちに向いているのを感じて。

人前に立つことがあまり得意ではないわたしは、それだけで緊張してしまう。


簡単な自己紹介とともにトップバッターを務めた暁くんは、さすがというかなんというか。

緊張なんて少しもしていないようで、いつもどおりのペースで話を進めていく。

もともと話上手だから、やっぱりこういう場での話し方も上手かった。

自分の業務内容を分かりやすく伝えながら、時折交じるほんの少しの脱線が真面目な話も飽きさせない。


話を聞いている受講生はとても興味深げな表情をしているし、話している暁くんもなんだか楽しそうだ。


生き生きとした暁くんの姿に、やっぱりカッコいいなぁ、なんて思ってしまう。



暁くんのスピーチは時間が経つのもあっという間で、気付けば次の人の番になろうとしていた。

……普通に楽しんで聞けちゃったよ。

毎日すぐ近くで仕事をしているけど、改めて暁くんの口から仕事に対する思いを聞くのはなんだか新鮮だ。


「!」

自分の出番を終えて一歩下がる暁くんと、ふいに視線が重なった。

瞬間、ドキンと心臓が大きく鳴る。

慌てて目を逸らしたわたしは、心の中で大きく深呼吸をした。