この階には研修室しかないし、彼が首から下げている社員証はまぎれもなくわたしと同じ会社のもの。
今年の春に大学を卒業したはずの彼は、今まさに社会人1年目なはずで。
ということは、彼は井倉ちゃんと同じく新人研修を受けているのだろう。
……まさか同じ会社に就職するなんて、すごい偶然だ。
「桐原くんはどこの部署なの?」
研修室まで並んで歩きながら尋ねると、経営企画部、という返事が返ってきて驚いた。
「なっ、え!?経営企画って……、新人が配属されることなんてあるの!?」
同じ本社ビルの中には入っているけど、ほとんどやりとりのない部署だ。
とりあえずエリートしかいかない出世コースの部署だという印象。
わたしの驚きぶりがおかしかったのか、桐原くんはあははと軽く笑った。
「俺もびっくりしてるわ。まだ全然仕事はわかんねーことばっかりだし。つうかできるようになる気がしないし」
「まぁ……、入ってすぐはみんなそう思うんじゃない?」


