きみのふいうち


……懐かしいなぁ。

心の中でぽつりと呟いて、わたしはメール画面を閉じた。


あのときの先輩のように上手くは話せないかもしれない。

でも、受講生のみんながそれぞれの職場に戻った後に少しでも思い出してもらえるような話ができるように、わたしなりに頑張ろう。


課長に呼ばれる前にやりかけだったファイルを開きながら、そう心の中で決心した。







「花南さん」

マグカップを持って給湯室に向かう途中、ふいに呼ばれて振り向くと、外出からちょうど戻ったらしい暁くんが駆け寄ってくるところだった。

いつもより少し忙しい時期ではあったけど、抱えていた案件にはなんとか全て一区切りつけることができたから、ようやく明日に控えた研修の準備ができる。

そのまえに休憩しとこうかな、と思ってコーヒーを入れ直すべく席を立ったところ。


「あ、暁くん。おつかれさま」

わたしはそのまま給湯室に入りながら、労いの言葉をかけた。