少しして食べ物も運ばれてくると、テーブルの上はあっという間に色とりどりの料理で一杯になった。
鼻腔をくすぐるいい香りに自然と笑顔になる。
そしてその香りは期待を裏切らず、どの皿に箸をつけてもとても美味しかった。
お腹が満たされてきて、お酒も進む。
暁くんとこうやってゆっくり話すような飲み会はそう言えば久しぶりで、あっという間に話に花が咲いた。
同じ部署だし、仕事の話ならネタはたくさんある。
暁くんは話がとても上手いから、聞いていてすごく楽しいんだ。
それからたくさん食べて、飲んで、自分でも酔いが回ってるな、なんて自覚できるようになってきたころ。
ふいに時間を確認すると、思ったよりかなり時間が経っていて驚く。
もうすぐ日付を越えようとしていた。
「あっ、暁くん、終電!もうすぐ明日になっちゃうよ」
一緒に飲むことが多いと、帰りの時間や手段まで覚えてしまう。
わたしは慌てて、酔いを覚ますように大きな声を上げた。


