笑われるほどおかしい行動をした覚えはないんだけど、と首を傾げて聞けば、なんでもない、と誤魔化されてしまう。
……やっぱり笑いながら。
いまいち納得できなかったけど、取り敢えず視線をメニューに戻すことにした。
うーん、暁くんって確かに笑いのツボが浅いところはあるけど、今日はいつもより機嫌がいいな。
何かいいことでもあったのかな。
なんて考えながら、わたしはドリンクメニューからアルコール度数の低そうな甘いカクテルを選んだ。
お酒が弱いわけじゃないけど、お腹がすいているときにお酒を入れるとすぐ回る、がわたしにはぴったりあてはまるから。
「俺は取り敢えずビールでいいかな。あ、このピザ美味そう」
「ホントだ!頼もう頼もう」
わたしと暁くんはメニューをめくりながら次々食べ物を決めていき、注文した。
前から思っていたけど、暁くんとは食べ物の好みが合うんだよね。
だから余計に、一緒にご飯を食べるのが楽しいのかも。
ドリンクは、注文してからすぐに運ばれてきた。
「ではでは、今週もお疲れ様でした!かんぱーいっ」
「乾杯!」
珍しくわたしのほうが乾杯の音頭を取って、わたしたちは音を立ててグラスを合わせる。
ひとくちカクテルを口に含むとふんわりとした優しい甘さが口一杯に広がって、仕事の疲れなんて一気に吹き飛んじゃう。
グラスを置いて向かいの暁くんを見れば、一口でジョッキの半分を減らしていた。
相変わらず、いい飲みっぷり。


