雲ゐかさ

「起こされたんだよ」

起こしてあげたんだろがっ。


「あ! さっきの...えーと、あかぎさん!」

「名前鈴ちゃんだってー」

勝手に紹介されたし。

この赤髪と知り合いってことは、あの時女子に囲まれてたの、やっぱりこいつだったんだ。


「俺、多希良太! こいつ起こすの大変だったろ?」

「今日はすぐに起きたっての。なぁ?」

「普段を知らないから何とも」


ガラッ

「お、まだいたか。青原と多希、ちょっと来い」

現れたのは吉田。
二人を見るなり手招き。

「えー。なんすか? 俺なんかしました?」

「俺も!」

「そーゆーんじゃねえよ。話があんだって」

二人は渋々って雰囲気で教室を出た。

「鈴ちゃんまったね〜」

「じゃあなー」


教室には私一人。
母さんが待ってるし、私も帰ろ。