雲ゐかさ

時間は遡って午後2時30分過ぎ

あかりは生徒会室で仕事中。
見回りの先輩が行っている間、誰かがここでサービスカウンター的役割を担う。

今はその当番。


あかりは鼻歌交じりに部屋のあちこちにある装飾品の直しをしていた。


ガタッ


「へー。ここの生徒会室はえらいおっきいなぁ。羨ましいな〜」

「?」

振り返ると、輝いた瞳で廊下の窓から顔を覗かせている男子がいた。
あかりに気づくと笑顔で手を振った。


あれ、この人知り合いだっけ??


「君は生徒会の人?」

「そうです。何か御用ですか?」

と、男子はじーっと見つめてきた。
よくわからないあかりは首を傾げた。


「君、頭良さそう。本当にあいつの友達? 大変やろ?」

「へ?」

「ん、なんでもないよ。あと、敬語じゃやくていいよ、同じ一年だから」

「ここの生徒さんじゃないよね??」

「ああ、違うよ。遊びに来たんだ。って言っても用があるのはここだけだし、明日も試合があるから」

「用件は私でいいのかな?」

「分かってるくせに」

男子は窓から身を乗り出して、さらに近づいてあかりを見てきた。
動じないあかり。

「選挙、出るの?」

「選挙??」

「うん。君なら副会長かな」

「そんな、別に立候補するつもりは」

「じゃあ賭けをしよう」