雲ゐかさ

「よーし! 浴衣完了!!」

「ありがと鈴ー!」

全員分着付けすると、やっぱり少し疲れるかな。

うん、みんな華やか華やか。

「...本当だ。髪の毛染めてても、浴衣が違うだけで似合うものなんだ」

私も一応...そうかな?


「そういえばバスケ男子共は?」

「今日試合だって」

「あ、そう...」

試合か...そっか...

「おっとー? 悲しいのかな鈴ちゃん??」

おっとー、イライラ増して来ました。

「残念、ツーショット撮ってやるつもりだったのにー!」

「美男美女〜。不良〜」

「誰だ今言ったのーっ!!」




「ん? なんで男だけ廊下にいるんだ」

やってきた吉田は、廊下でたむろしている男子共に声をかけた。

「今教室の中修羅場だぜ。ケンカじゃねえけど、暴れたり写真撮ったりしてる」

「関わると死んじまう」

「男は黙るのが一番」


「お前ら、賢いな。何があったんだ」


「あれ? 吉田先生、バスケの試合あるんじゃないんですか? 学校に居て平気なんですか??」

後ろから走ってやってきた神田あかり。

相変わらずのニコニコ顔。
1組の男子がこの笑顔にやられているのは誰も知らない。


「お前からの生徒会担当への推薦のお陰でな、仕事があんの!! 終わったら行くんじゃボケっ」

「怒らないでくださいよ〜。フランクフルトおごりますから〜」

「だから俺はこの後抜けるの!! あーお前らっ! さっさと教室入れっ! 点呼取るぞ!!」