雲ゐかさ

鼻唄を歌いながら廊下をスキップする女子、一人。
少し先にある部屋の扉が勢い良く開けられる。

「やっぱ逃げたっ。あいつが犯人だ! よーしっ」

飛びたしてきたのは高原奈津。
そのまま階段を駆け下りる。


その女子、あかりはそんな彼女を見て笑った。

「そっか、高原さんも犯人探ししてたんだね」

ストーカーが誰かは何と無く分かってた。
だけど、私には他にやることがある。


生徒会室ではなく...隣の準備室の扉を開ける。

「おっじゃましまーす♪」

先客は一人。
慌ててこちらを見たその人は。

「どうしたんですか、吉野山先生。雑用なら私がやりますよ?」


「か、神田か。なんだ急に。今日は会議なんかないぞ?」

「会議はありませんが、先週の会議に間違いがあったようなので、その報告に」

「なに?」

「まぁまぁ、時間は沢山ありますから」

ーーカチャッ

扉のカギを閉める。
途端に青くなる先生の顔。

あかりは満面の笑み。
だけどどこか冷たく感じるそれは、勝てる気がしないオーラを放っていた。


「ここからは生徒会のメンバー同士、お話でもしましょう?」