雲ゐかさ

「あの〜。高原さん? なんでこんなことしたの?」

とあるファストフード店に入った俺たちは、向かいに高原さんを座らせて話し合いの最中。

隣にいる鈴のオーラが半端ないけど。

「てか、やっぱり俺のことストーカーしてたの?」

「ストーカーじゃない! 尾行!」

どっちもどっちな気がするけど、まぁ置いといて。

「なんで?」

「あたし、移動教室だったんだよね。盗難があった日」

「盗難? 関係あんの?」

すごみのある鈴の問いかけに、高原は素直に頷いた。

「一年生って四階じゃん? 三年生は一階と二階。あたしは被害のあった二階の別の教室で数学やってたの。そんで、途中でお腹痛くなったからトイレ行って。帰る時に、見たんだ」

「もしかして、盗んでる人?」

「多分。だって被害のあった教室から出てきたし。階段駆け下りて行ったし。その時は気にしなかったけど、生徒会ってさ、その日のうちに聞いてたんだよね、盗難のこと。そこで気づいてさ。吉野山に言ったわけ。なのにあいつ...!!」

「信じなかったわけか」

鈴がぽそっと呟いた。

「そう! あたしって普段からこんなんだから。つーか他にもいるけどさ、なのに生徒会入ってて気に食わなかったんだろうね。お前がやったんだろって言い始めてさ。ムカついた」

確かに、そりゃムカつく。

「俺となんの関係が??」

「その後ろ姿が赤頭だったから。あんたしかいないなって。尾行して問い詰めてやろうって思ったの。真犯人見つかれば吉野山のアホを泣かせられると思って!」

「赤頭!? おれやってねーぞ! ちゃんと授業受けてたし! 途中で抜けてもねえよ」

「うん、ごめん。話してたら違うなって思ったよ。ストーカーみたいなことしてごめんなさい。姐さんも」


!?



「ちょい待て。誰のこと、それ」

「さっきのすごいかっこよかったです!! 惚れましたっ」

「はぁ!?」

「どこまでも着いて行きたい感じ!」

「はいぃ!!?」


新たなストーカー疑惑出ました。