雲ゐかさ

「なにっ!? 変質者だと!!?」

「声がデカイ馬鹿」

脳天にチョップを食らわす。
良太の慌て様は面白かったけど、ここは教室で今はお昼休みなんです。

「え!? 何々、変質者って!?」

ほらね。
ノリがいい男子が食いついてきた。

「何でもない! 俊相手して!」

「あー? しょーがねえなぁ。いいかお前ら! 鈴はな、狙われている!!」

「「おおー!」」

「話盛るなボケッ!」

回し蹴り!!
うわっ、久々。
てか、なんの感嘆の声。

「ぐほっ!」

KO。
よしよし。

「廊下で話すか?」

失笑気味に良太が立ち上がったので、私も慌てて後について行った。

女子たちのはやし立てる声が聞こえた気がするけど、気のせい気のせい。


「そんで? ストーカーされてんの?」

「いや、そんな大層なものじゃなくて。ただ、一週間続けて見るから」

「男?」

「うん、多分。若い、と思う」

良太は真剣な表情で考え込んだ末、こう言った。

「丁度いい。俺もストーカーされてんだよ」





「は?」