雲ゐかさ

「...ですので、心当たりのある者は、先生まで申し出るように」


突然告げられた盗難事件。
あかりは知ってたらしいけど、大胆なことするなー、盗んだ奴。


「三年生狙ったってのがえげつないな」

欠伸をしながら俊がぼやいた。

「本当に生徒なの? なんかよく分からないけど」

この話は既にネタにされてるし、いつかは忘れられるんだろうけど。



事件はもうひとつ、起きた。


それは、私が一人で帰ってる時。

街中を普通に歩いてて、駅に向かってた。
私の家は埼玉にあるから、結構時間かかる。
だから早歩きが基本。


信号待ちしてる時だった。
何と無く後ろを振り返ったら、建物の影から誰かがこっちを見てた。


男。
流石に背筋が寒くなった。


見てない振りして駅に向かって振り返ったら、もう居なかった。


幻だったのかな?


よくわかんないけど、
怖かった。