雲ゐかさ

「田中先輩!」

「ん? どーした神田。帰らねえの?」

「はい〜。あの、被害にあった生徒の名簿って、見せてもらうことって出来ますか?」

私の言葉に、田中先輩は一瞬キョトンとしてたけど、すぐにため息交じりに肩を落とした。

「お前って、こういう厄介ごとに首突っ込むよなぁ」

「お嫌いですか? 厄介ごと」

「嫌いとかじゃないな。こういう時に活躍出来るのが執行部だから。俺、一応会長だし」


「先輩のそういう所、尊敬してます」

「おだてなくて大丈夫だってーの。ほら、これが一覧表」

「ありがとうございますー!」

手渡された一枚の紙には、20人の生徒の名前が書いてあった。

「しっかし、まさか盗難事件とはなー」

「初めてなんですか?」

「俺はな。昔は知らねえけど。それよりそんなん見てどーすんの?」


「えっとですねぇ〜」