「チャリ?」

「おー。後ろ乗ってくか?」

「やだ。捕まる」

懐かしいけど、都会がどこまで厳しいか知らないし。


「そういえばだけど、眼帯は?」

「え? あー、今日は要らねえんだ」

「ふーん」

今日は?


自転車を引いて、隣を歩く多希は、やっぱり大きい。

バスケで大活躍。
高校ではやらない。

「...あのさ」

「ん?」

「部活...入らないの?」

「えっ? ...おぉ、入らねえつもり」

「なんで? 強いんでしょ? バスケ」

「んだよ、俊に聞いたのか?」

「正確には吉田」

「あいつかぁ〜!! 放っとけっての...」

「理由は? ないの?」

「...あるけど...」


言いにくそうに口ごもる多希。

「言いたくなければいいけど。部活やりたくなさそうには見えないから気になったけど」

「別にねえって」

「だって、カバンに付けてるそれ、バスケットボールのキーホルダーでしょ」