~小5・夏休み直前~




「掃除の時間です。机を後ろに運んでください。」

担任の先生の一言で、一斉に机を運び出す。




「ねぇ、天(そら)‥」

ガタガタガタ
机を運ぶ音が響き、今は私と天、ふたりだけの世界のような感じがした。


「何?」
「私の好きな人知ってる??」

ガタガタガタ
いまだ鳴り響く、机の音。
でも今は、そんな音も気にならなかった。

「知らない‥けど」
「…‥天だよ‥」

「えっ…//」


天は少しだけ顔を赤く染めていた。


「やっ、ご、ごめんッッ!! 気にしないで」







私は雑巾を持って、逃げ出すように教室を出て行った。