日曜の午前9時。
あたし、中沢彩葉は、ただ街を歩いてた。
寂しさを紛らわすために。
ドンッ
向かいから来た人にぶつかる。
「いってぇなぁ…どこ見て歩いてんだよ。」
はあ?
いや、ぶつかってきたのあんたらでしょうが。
「あれ?結構かわいいじゃん!」
いや、かわいくないし、全然。
「俺らと遊ばない?」
「結構です。」
「いいじゃん!ちょっとだけ、遊ぼうよ!」
「いいですってば!」
しまいには、腕をつかまれた。
「ほら、行こうよ!」
はぁ?!
ここまでくると、いい加減うざい…。
と、そのとき、私の肩に腕がまわってきた。
またナンパ男?!
そう思って、左上を見ると、すごくかっこいい男の人がいた。
綺麗な黒髪、少し切れ長な目、筋の通った鼻、形の良い唇。
まさに、完璧だった。
「なっ、誰だよ、お前!」
どうやら、ナンパ男の仲間では無いらしい。
「俺は大雅。ちなみに、この子、俺のだから。」
は?!
うん、名乗ったとこはいいよ?
そのあと!
この子って、私のこと?だよね?
俺のってなに?!
「じゃーね、狼さんたち?」
そして私は、その『大雅』って人に、肩を抱かれながら、連れ出された。