店から出て少し歩いたとき、

ナナが、あっ、と声をあげた。

「そういえば、

カナコのお姉さんって…」




お姉さんって…








私は

自分の顔がひきつったのを

確かに感じた。



ナナは、私の顔を見て

慌てた様子になった。

「あ、いや、ごめんごめん」



まずい。

私が顔をひきつらせたのは

ナナのせいじゃない。



「いやっ、違うの」

「いやいやいや、ごめんね」


あぁ。

ナナは、なんて優しいんだ。


「違うの、ごめん。

こっちこそ、ごめん。

本当に…」





うちの姉が、

あの事故をあんな風に使って

本当に




「ごめんなさい」






ナナは、あっけにとられて

深く頭を下げた私を見ていた。