「いま考えれば、
弱音中心の悪口だったな。
幸子はおかしくなったとか、
幸子は現実逃避してるとか、
幸子は変わらなきゃいけないとか。
もう疲れた、とか」
なにそれ。
口をついて出そうになったが
なんとかとどまる。
際どいボール球。
私は振らない。
「そしたらな、言われたよ。
お前は奥さんのこと
ちゃんと考えてんのかって。
弱った奥さん見て
自分は大丈夫だって
安心してんじゃないのかって」
「…」
私は肉まんをかじった。
弱音中心の悪口だったな。
幸子はおかしくなったとか、
幸子は現実逃避してるとか、
幸子は変わらなきゃいけないとか。
もう疲れた、とか」
なにそれ。
口をついて出そうになったが
なんとかとどまる。
際どいボール球。
私は振らない。
「そしたらな、言われたよ。
お前は奥さんのこと
ちゃんと考えてんのかって。
弱った奥さん見て
自分は大丈夫だって
安心してんじゃないのかって」
「…」
私は肉まんをかじった。

