「らっしゃぁせー」


入店と同時に

威勢の良い声が響く。

手頃なカウンター席につき、

私は適当に口を開く。


「味噌ラーメン、並で」


ねじりはちまきをした

店主らしき初老の男性が

目尻にしわを寄せて笑う。


「あいよっ。

味噌いっちょぉぉ!」


「味噌いっちょぉぉ!!」


若い店員二人が

声をあげた。



店主と店員の息は

ぴたりと合っていた。

職人と、弟子。

その関係より不安定な

私と父親。

私とお姉ちゃん。


私と…ママ。





本日、何回目かわからない

ため息が豪快にこぼれた。