「帰るか」


つぶやいてから、

町中を歩いたときは一回も

家の前を通らなかったな、

と、ふと思った。



無意識の内に

グルメ橋の段ボールの要塞と

同列に置いていた家。






帰ってもイライラは

増幅するだけだろう。



それでも

家しか行くところのない私は

重いため息をついてから、

家へと足を運んだ。