黙ってしまった私の顔を

ナナが覗き込む。

「カナコ?」

「考え中」


ナナは軽く笑った。


「そんな深く考えんでも」


私は残りの塩むすびを

すべて口の中に放り込み、

プラスチック製の包装を

ゴミ箱に入れた。


「…おでん」


ナナのなるほど、という声が

耳に入る。

「じゃあ好きな具は?」


「…たまご」