ママはずっと泣いてて、

父親はママを慰めてて。

私は冷めた目で二人を見ていた。


遺体の入ってない棺。


『ミサキは…ミサキは…

どこにいるのよ!?』



たぶんスーパーで

段ボール物色してるよ、

なんて思って。



『幸子…ミサキは…』


『なんであの子の体は

ここにないのよ!?』



死んでないからだよ、

なんて思って。



『…事故で、もう…

しかたないんだ』



『…』



お姉ちゃんが

本当は生きていると知っていても

その『しかたない』は

たまらなく嫌だった。




ママの受けた衝撃は、

大きすぎた。





その日、

私はそれまで以上に

父親のことが嫌いになって、



その日、

ママは壊れた。