グルメ橋のそばを通る。


「…」



彼の目が

段ボールの要塞に

向けられたのを

私は感じとる。



「…直せばいいんだ」


「…うん」





私は彼の前に立ち、

口を開く。




「パパ、





これからもよろしくお願いします」






彼は目を見開いて

私を見た。




「カナコ……今、『パパ』って…」
「帰ろ!残ったおでんが待ってるよ!」







壊れた私達は、直せばいい。



冷めたおでんは、温めればいいのだ。