「あんた会社は?」

レタスをつまみ上げながら

お姉ちゃんは私を見た。



「うん、もう行く」



「あっそ」

お姉ちゃんはレタスを

口の中に放り込んだ。



「…」

お姉ちゃんは

ホームレスになってから

動きが男っぽくなった。



「んじゃあ、お邪魔しました」

「ん。明日もよろしく」






私は、

段ボールの要塞を振り返って、

ひとり、ため息をついた。