王子様。

 その言葉が、ゆかの脳裏に過る。

 一体、どのような王子様なのか。

 かっこいいのか、それとも――

 あれこれと想像を膨らませながら、ゆかは詩織と共に学校へと続く道を歩いていく。

 そして目の前に見えたのは、小高い丘の上に建てられた白い外観が美しい三階建ての大きな学校。

 以前通っていた学校とは明らかに違う外観にゆかは圧倒されるが、勇気を出し校門に足を踏み入れる。

 これこそが、彼女にとっての運命の一歩といっていいものだった。