「どうだろう? ただ、今まで接してきた人とは違う。近寄って来て、媚びを売るタイプじゃないし」

 息子の話に興味を示した雅之は、その人物に会ってみたいと言い出す。

 異性関係に無縁だった息子が、はじめて女性について話しだした。

 これを逃したら次がいつになるかわからないので、早めにこのような人物か見極め、いい子であったら手を打たないといけないと考える。

 父親の話に、和人は間髪入れずに反論する。

 もし、気に入ったらどうするのか――

 その点を尋ねる。

「勿論、婚約だ」

「はあ!?」

「嫌なのか?」

「嫌いじゃ……」

「お袋も、心配していた」

 急にハナの名前が出てきたことに、和人は訝しげな表情を浮かべる。

 ハナの話では、早くシッカリとした女性を見付け、身の回りの世話をして貰いなさい――というものであった。