「ひとつ聞いていい?」

「何だ」

「結婚って、どういう感じ?」

「どういう意味だ」

「そのままの意味だけど」

「結婚は、悪いものではない。愛している者がいるのなら、その者と一生いたいと思うものだ」

 父親の説明に、和人からの言葉はない。

 まだ、特定の誰かを愛したことはないが、話し易く他の異性とは違う変わった人物には出会っている。

 その者は和人の正体を知っても普通にし、いずれ継ぐ地位や権力、それにお金に興味を示さない。

 尚且つ、料理が上手い。

 そう、水沢ゆかのことである。

「婚約すれば、静かになる?」

「相手がいるのか!?」

「面白い人なら、いるけど」

「誰だ?」

「最近、転校してきた」

「いい子か?」