私に似た女の子。私に似た、私に……。

頭の中で同じ言葉を何度も繰り返し、その意味を考える。

大登さんが欲しいといった五人の子供が私似の女の子という場合、それは私がその子供を生まないと似ないよね? で子供を生むということは、私は大登さんと結婚しないといけないわけで……。

……って、け、結婚!?

まだ昨日、付き合い始めたばかりだよ? 私の気持ちもまだついさっき大登さんに動き始めて、彼女って自覚も芽生えたばかりなのに、もう結婚?

大登さん、正気?

驚き顔を見上げれば、私の顔を見た大登さんが一瞬固まり、その後ぶっと大きく吹き出した。

「薫子、ご、ごめん。ちょっと先走りすぎた。今のは俺の勝手な願望だから、そんな深刻な顔するな」

大登さんは笑いながらそう言って、私の頭をポンポンと撫でるけれど。私の堅い頭はショートしてしまい、そんな簡単には元に戻らない。

しばらくふたりとも黙ったまま。大登さんに手を引かれ、海岸沿いを歩く。しばらくすると小さな公園があって、そこのベンチにふたりで座った。

「ちょっと冷たいけど、海風が気持ちいいよなぁ」

「はい」

「初デートは楽しいか?」

「はい」

「俺のこと好きか?」

「はい。……って、今のはちょっと、ズルいです」

流れから『はい』と答えてしまって恥ずかしいのと、あながちその答えが間違っていないということに気づいてしまい、顔を上げられないでいた。