「ごちそうさまでした」
「ああ、旨かっただろ?」
大登さんが連れて行ってくれたカフェを出て、今はどこに向けっているのかわからないまま車内で他愛のない会話中。
夫婦ふたりで営んでいるという一軒家のカフェは、グリーンの植物が目に優しい居心地の良い空間。大登さんは常連なのかそのご夫婦と仲がよく、「朝食を食べに来た」と伝えるとあっという間に何種類かのサンドイッチがテーブルに用意された。
「この時間ならブランチだね」とスープとサラダも出してくれて、どれもこれもほっぺたが落ちそうなくらいの美味しさに、つい食べ過ぎてしまった。
「薫子って、結構食べるのな」
「い、いつもじゃないです」
これ、本当。食べることにさほど興味のない私は、いつも食事を簡単に済ませてしまう。朝食に至っては食べないことも多いのに、でも何故か今日はおかしい。
もちろんご夫婦が作ってくれたサンドイッチが美味しかったっていうのが、一番の要因なんだろうけれど。どうもそれだけじゃないような……。
何気なく運転席の方に顔を動かし、チラッと大登さんを覗き見る。
まさかね……。
ひとりで食べる味気ない朝食じゃなくて、大登さんが一緒だったから美味しいサンドイッチが数倍、いや何十倍も美味しくなったとか?



