「なんで謝る? 可愛いじゃないか」
「ど、どこがですかっ?」
まさか可愛いなんて言葉が出てくると思ってなかったからか、おもわず声を荒げてしまう。
きっとからかってるだけ。そう思うのに、可愛いのひと言に顔が緩みそうになる。
「階段から下りてきた時、可愛すぎて一瞬心臓が止まったからな」
「冗談言わないで下さい」
「冗談か。まあそれくらい素敵だってことだ」
可愛すぎ? 素敵?
大登さんの口から飛び出してくる言葉は、今まで私に向けられたことのない言葉ばかり。嬉しいけれど信じられない気持ちの方が大部分を占めていて、どうしても素直になれない私がいた。
「朝飯食ったら、どこ行きたい?」
「どこ行きたいって、どういうことですか?」
「どうもこうも、付き合い始めたんだからデートだろ。ドライブに連れて行ってやる」
デ、デ、デートッ!?
朝食を一緒に食べるだけでもハードルが高いのに、ふたりきりでデートでドライブなんて……。
「これからは時間が許す限り、一緒に過ごすぞ」
「時間が許す限り……ですか?」
「ああ。早く俺の彼女って位置に、慣れてもらいたいからな」
大登さんは信号で車を停めると私に頭に手を乗せて、優しい目を向けてくれた。



