大登さんのマンションにつくと、彼がポケットからおもむろに取り出したのは淡いブルーのキーホルダー。ちゃんと使ってくれていることが嬉しくて、大登さんの後ろ姿を微笑みながら見つめた。

「今日連れてくるつもりじゃなかったから、部屋汚れてる。悪いな」

「そうなんですか? それでも私の部屋よりは、きっと綺麗です」

「それもそうだな」と言って笑う大登さんに、頬を膨らませて怒ってみせた。

「怒った顔も可愛いから、そんなことしてもかえって俺を煽るだけだぞ?」

いきなり手を掴まれ玄関の中に引き込まれると、そのまま玄関先でキスされる。でもそれはすぐに離れると、彼の腕に抱きすくめられた。

「何? 抵抗するのはやめたの? さすがに観念したか」

「観念って。さすがに、そこまで子供じゃないってことです」

今までさんざん抵抗してきて何を今さら……と思わなくもないが、今は少しばかり強がりを言うのは許してほしい。

「ふ~ん、子供じゃないんだ。だったら……」

大登さんは耳元で妖しげにそう言うと、私の背中に回されている手を腰へとゆっくり動かし始めた。