「あ、はい。土曜には別々に過ごすし、なんとかなると思います。麻衣さん、ありがとうございました」

「何が?」

「大登さんの誕生日教えてくれて、ですよ」

「ああ、そのこと。薫子知ってると思ってたから、教えたわけじゃないけどね。まあ結果、良かったってことかな」

麻衣さんは笑ってそう言うと、私の海老天を一匹持って行ってしまった。

「麻衣さん! それ貴重な海老天ですよ!!」

と言ったものの、時すでに遅し。大事にとってあった海老天は、あっという間に麻衣さんの口の中へと消えていってしまった。

「堅いこと言わないの」

満足そうな顔の麻衣さんは、私の肩に手を伸ばす。

「何かあったら、いつでも頼っていいからね」

「はい。ありがとうございます」

やっぱり麻衣さんは頼りになるなぁ……って。まんまと麻衣さんのテンポにハマッてる私もどうなのかと思うけれど、これが麻衣さん流の優しさで。そんな麻衣さんの笑顔に、心もお腹も満足感でいっぱいになった。