「わあっ!!」

驚いてスマホを落としそうになりながらも画面を見ると、それは大登さんからの着信で。

「ど、どうしよう、おばちゃん。大登さんから電話が掛かってきた」

「出ればいいんじゃない?」

おばちゃんのあまりにも的確な答えに頷くと、深呼吸をしてから電話に出た。

「もしもし、大登さん?」

『ああ。どうした、何かあったのか?』

いつもと変わらない大登さんの声に、ホッとする。

「いえ、特に用事があったわけじゃないんですけど……」

『何、俺の声が聞きたかったとか?』

大登さんの人をからかうような言い方は気に入らなかったけれど、ここは素直になることにした。

「はい。そんなところです」

電話の向こうでは大登さんがどんな反応かはよくわからないけれど、私の答えを聞いて明らかに動揺している感じが伝わってくる。

『や、やけに素直だな今日は。今どこにいる?』

「井澤のおばちゃんのところですけど」

『わかった。すぐに迎えに行くから支度しておいて』

大登さんはそう言うと、勝手に電話を切ってしまった。

「え? ちょっと大登さん?」

「どうしたの?」

おばちゃんが私の顔を覗きこむ。

「今から迎えに来るって……」

「良かったじゃない!」

そう言って、私よりも嬉しそうに微笑むおばちゃん。その姿に、私の中にも嬉しさが膨れ上がってきた。