思いよ、とどけ

傘をさしたけど意味はない。


なんのために借りたんだ…


ただでさえ知らない人に借りたのに…


こっちは急いでるのに、心臓は暴れだす。


掴まれて、掴まれて、掴まれて、


圧迫されて暴れだす。


痛くて、苦しくて、寒い。


「和美ちゃん!何やってんの?」


「…………先生?」


やっとでた小さい声で呼ぶ。


「もー、また帰りたいの?」