夜、バイクに乗せてもらうのは初めてだった。


私はさやえんどうヘルメットをかぶって、しっかりと蒼太先輩にしがみつく。


車のヘッドライト、
町の灯り、
おっきなトラック、
昼間とは違う景色がどんどん後ろに流れていく。


バイクが止まったのは、やっぱり山上の見晴台だった。



『わぁ…』

それは、まるで海のようだった。

キラキラと水面が光っているみたいで、私はしばらく手すりにもたれて見ていた。


この光のひとつひとつに、人々の生活があることが不思議に思えた。


ふいに、その光がぼやけて見えて、私は目をこする。


そして、口を開く。