『新谷さん?』


スタッフルームでボーッとしていた私は、ハナの声にハッとする。


店長は珍しくお店に入っていて、私は一人でいたはずなのに、気がつけば、ハナが立っていた。


『新谷さん、元気ないですね』

ハナがじっと見てきて、私はドキッとする。


『そんなこと、ないよ』


ハナは、ため息をついて、
『はい、これ』
とコンビニの袋を差し出した。


『…?』


中を見ると、

『あ、これ』

私の大好きなチョコビスケットだった。


『ハナ、ありがとう』

『やっと笑ってくれた』


私は後輩で二つも年下のハナにこんな気遣いをされたことが、情けなくなってしまう。

しっかりしなきゃ。
私、アルバイトリーダーなんだから。