蒼太先輩のバイクは、びゅんびゅんスピードを出して、山上の見晴台に止まった。


途中の山道が、ドライブウェイになっていて、走っていて気持ちがいいそうだ。

山の上から見る景色は素晴らしかった。
きっと、夜だったら夜景が綺麗なんだろうな…。
私はそう思ったけど、口には出さなかった。
催促してるみたいで恥ずかしいし。



私は、蒼太先輩の腰に回した自分の腕を見下ろす。
ついさっきまで、蒼太先輩の体に巻き付いていた腕。
腕だけじゃない。
蒼太先輩の背中にピッタリくっついていた私の体。

蒼太先輩のぬくもり。

蒼太先輩が言った、
『まぁちょっとかわいかったけどな』
という言葉。



私の体の細胞ひとつひとつが、
『蒼太先輩が大好きだー』
と叫んでいるみたいだった。


体が熱くて、どうにかなりそう。


それは、今までで一番素敵な誕生日プレゼントだった。