私の好きな人 私を好きな人

そして、今度は後ろを振り返らずに、

『まぁ、ちょっとかわいかったけどな』


と言った。



そのあとは、私も蒼太先輩も一言も話さなかった。

蒼太先輩はスタスタと歩き、着いた先は駐輪場だった。


『はい、これ。かぶって』

蒼太先輩に渡されたのは、赤色のヘルメットだった。
かわいい黄緑色のステッカーが貼ってある。
よく見たら、それは豆だった。



『それ、お前専用だからな。さやえんどうの豆だからな。』

蒼太先輩が早口で言うと、ヘルメットをかぶってバイクにまたがる。


『早く乗れよ、さやえんどう』


私は慌てて、バイクにまたがると、どこを持っていいのかわからなくて、おろおろする。


すると、蒼太先輩が、私の手首を引っ張って、自分の腰に回し、
『まじ危ないから、ちゃんとつかまってて』

そう言うと、一気にバイクが動き出す。



『ひゃっ!!』

おもわず目をつぶった私が、しばらくして目を開けると…



『うわぁー、気持ちいいーーー!』


風がびゅんびゅん耳元でなって、まわりの景色がどんどん変わっていく。



車とも電車とも自転車とも違う。


『すごーーーい!!』


私は蒼太先輩にしがみついて叫ぶ。


蒼太先輩は聞こえたのか聞こえないのか、何もいわずバイクを飛ばし続けた。