私の好きな人 私を好きな人

急に不安になった私は、頭が痛いのも忘れて、急いで出掛ける準備をした。


駆け足で大学に向かい、そわそわと麻衣の姿を探す。


怖くて電話では聞けなかった。
直接、話したかった。



やっと見つけた麻衣を拉致して、私は中庭のベンチに座る。


『あのさ、麻衣。』

『うん?』

『わ、私、昨日さ…』

『あー、紗耶香、酔っぱらってたね。大丈夫だった?』

『大丈夫だった、とはなにが?』

『なにがって…、二日酔いとか』

『二日酔いとかは平気なの。それよりもさ、わ、私昨日、何か言ったりしてない…かな?』

『何かって、何?』

『その…蒼太先輩に…す、好きだー、とか…』


麻衣は目を丸くして、

『言ったの?』

と聞いてくる。

『言ったの?じゃなくて…その…言ってない…よね?』

『覚えてないの?』

『…はい。』



『…ふふっ。言ってないよ。少なくとも私の知る限りでは』



はぁ…
良かった。


『でもさ、帰り道はわからないよ』

『え…帰り道?』

『うん。紗耶香、かなり酔っぱらってたからね。でもさ、』

『……』

『もし、言えたんなら良かったじゃん』



『よくないわーーー!』



私はそう叫ぶと、中庭を意味もなくぐるぐるぐるぐる歩き回る。


麻衣はそんな私をしばらく眺めていたけど、

『蒼太先輩だって、言われたら嬉しいに決まってるよ』

と言った。


『…そうかな?』

『そうだよ』


麻衣の自信満々な顔を見て、私はなんだか勇気が湧いてくる。


『直接、聞いてみる』

『うん!頑張って!』



麻衣が私の手をギュッと握って応援してくれた。