『さーやーえんどぉー!!』
どこからか、私を呼ぶ声がして、私はキョロキョロと振り返る。
私は友だちと、大学のロビーで、次の講義まで時間をつぶしていた。
『紗耶香…あそこ…』
友だちにつつかれて見ると、蒼太先輩が外からガラス越しに手を振っている。
『ごめん…ちょっと行ってくるね』
『はーい、がんばってー』
なんの応援?
首をかしげながら、自動ドアを出て、蒼太先輩のもとへむかう。
『蒼太先輩、どうしましたか?』
『ん?さやえんどうがいたから、手を振っただけなんだけど?』
『…あんな大声で?』
『大声?誰が?』
…あなたです。
そう思いながらも、蒼太先輩が呼んでくれたのが嬉しくて、私は頬が熱くなる。
『さやえんどう、顔が赤いぞ?』
『え…そ、そんなことないですよ?』
『そんなことありますよ?』
そう言うと、蒼太先輩は親指と人差し指で、私の頬をむにっとはさむ。
『ぴーよぴよ、ぴーよぴよ』
『や、やめてくだしゃい』
慌てる私をぎゃはは、と笑って、蒼太先輩は
『じゃーなー』
と去っていってしまった。


