あれ以来、蒼太先輩は飲み会のたびに、私を送ってくれる。

相変わらず、少し前をスタスタ歩くだけだけど、そのずいぶんとゆっくりになった歩調に、私はぽっと胸が温かくなる。


『一人暮らししてるんですか?』

『兄弟はいるんですか?』

『アルバイトはいつからしてるんですか?』

『いつもヘッドフォンで何を聞いてるんですか?』




聞きたいことはたくさんあるけど、私は聞けない。
ただ、黙って蒼太先輩の後ろを歩くだけ。


こんなに奥手なタイプではなかったはずなのにな…。

私はこっそり苦笑する。