『お疲れ様でしたー』


バレーボールやネットを片付けながら、私は額に浮かんだ汗を拭いた。


七月も終りに近づき、大学は夏休みに入ったけど、週二回のサークル活動は続いていた。


『暑い、暑い。飲みに行こうぜ』

三回生の先輩たちが誘いに来る。

『私、行きまーす』

私は、まだお酒は飲めないけど、サークルのみんなでわいわいと過ごす飲み会が大好きだった。


この時はまだ、私の中で蒼太先輩は
『よく笑う、あっち系の人』でしかなかった。


ただ、私は初めて出会った『あっち系の人』が気になって、サークルの練習中や大学の構内で会うと、つい目で追っていた。


蒼太先輩は、サークルの時も、構内にいる時も、いつも男友だちといて、いつも大声で笑っていた。
たまに、一人でいる時は、大きなヘッドフォンで音楽を聞いていた。


サークルの人は、みんな背が高かったけど、蒼太先輩も高くて、どこにいても目立った。


大きなバイクに乗っていて、サークルがない日は、授業のあと、ガソリンスタンドでバイトをしている…と、噂で聞いた。