「そうだ、瀬田くん。もう一度ギター弾いてよ」 私は続けて言った。 彼はマダーオレンジに染まりながら優しく微笑んだ。 「リクエスト、ある?」 何故ファリーニャスと呟いたのかは分からない。ただ彼を取り巻く不透明な深青に、私は見惚れていた。 「ファリーニャス?ヴィラ・ロボスの?」 少し、驚いた。彼がロボスを知っていたなんて思わなかったから。