櫻の王子と雪の騎士 Ⅰ





『エンマが心の闇を見るのなら、私は人の心の中の光を見る』



ノアは静かにそう言った。



『ほんの小さな偽りさえも、そこに悪意があればそれは闇に染まってしまう』



ノアは何を言いたいのだろうか。ルミの言葉に偽りがあるとでも?そう思いかけた時、ノアはルミの心を読んだように優しく語りかける。



『いや、そうじゃない......昔から思っていたが、本当にルミは“光”そのものだな』

「え、」

『影の部屋への行き方を教えよう、きっとルミなら大丈夫だ。あの方にもお前が必要になるだろう』

「ノア、いいのっ!?教えてっお願い!」



『着いて来い』そう言って歩き出すノアの後ろ姿を追いながら、ルミは先程のノアの言葉に僅かにだが、疑問を感じていた。



(『昔から』と確かに言っていた......どういう事?)



この世界にやって来て数ヶ月。



ノアに出会った時、何かを追っていると言っていた。



私の事を《白亜の女神》と呼んだ。



一体ノアは何を知り、何をやろうとしているのだろう。



たくさんの疑問を抱えながらも、ノアを疑おうとは微塵も思わなかった。



ルミはノアの後を追った。