『......もう、あいつの話はいいだろ。イライラしてくる』
あ、やっぱりあんまり好きじゃないんだな。と、ルミはノアの言葉で確認する。
『それより、ルミ』
「ん?」
先程までとは違う、真面目な表情でノアは言う。
『あの方に会いたいか』
あの方。
おそらく、シェイラの事だろう。先程、その名を呼ぶ事を禁じられた。
「会いたい」
素直にそう思う。この三ヶ月、彼の顔が頭の中から離れることはなかった。死にかけの、やせ細った色味の悪い彼の顔。
あの日から時間がたった。ルミの思いが届いていれば少しは元気そうにしているかもしれない。もしかしたらもうこの世にはいないかも。
どうなっていたとしても、彼に会いたいとそう思った。会わなければならないと。
『会えば、これから大変な事に巻き込まれるかもしれない。いや、確実に巻き込まれていくだろう』
ノアのその言葉は、まるで脅しのよう。
だがしかし、ルミの心は折れることはなかった。
「会いたい、それでも」
どうなっていたとしても、彼に会いたいとそう思った。会わなければならないと。
それだけを思ってノアを見つめた。ノアの空を映したように真っ青なその瞳を。
消して揺らぐことのないその思い。それが伝わったのか、ノアはゆっくりと立ち上がり、ルミを見据えた。



