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『シェイラ様』
エンマの声で、はっと我に返る。
目の前に出された円形の机の上には、とても黒い小人が作ったとは思えないほど美味しそうな料理が並んでいた。
よく見るとその全てが、消化しやすいもので作られている。栄養バランスも取られた完璧なものばかりだ。
初めは水分以外口にすることができず、全て点滴と栄養剤だけだった。消化器官をはじめとした体中の器官が弱っていたからだ。
少しずつ流動食が食べれるようになり、やっと今のようなまともな食事が取れるようになっている。
最近ようやく自分の手で食べれるようにもなった。
思い通りに動かない自分の体に、死ぬ寸前まで行っていたことを思い知らされる。同時に、自分の世話をしているエンマのその多大な労力を知った。
今は早く動けるようになって、エンマを休ませる事が一番の目標となっている。そのくらいシェイラはエンマに対して感謝していた。
目の前に並べられた食事を見つめる。
「ありがとう、エンマ」
そう言って、やっとまともに動かせるようになった手で匙をとった。
あの日以来ルミがここに来ることはない。
オーリングの考えは理解できている。
今、この国に起きている事はエンマを通してシェイラが誰よりも理解している。影に徹しているからこそ、全てを把握できているのだ。
だからこそ、彼女を巻き込みたくないというオーリングの思いは痛いほどわかる。
けれど
(......会いたい)
その思いは日に日に強くなっていく。



