ルミアとの幸せな日々は約二年間続いた。
そんなある日の事。
ルミアから、人生で初めて魔導石をプレゼントされた。
魔法使いから魔法使いへと贈られる、相手を優秀だと認めた証。
歪なそれは、シェイラの涙腺を緩めるのに十分だった。
初めて作ったんだとはにかむルミアに、胸がどうしようもなく熱くなる。
この思いを彼女に伝えたいと、そう思った。
「また明日、ここで待ってる」
それが彼女との最後の約束になるとは思わずに。
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「ルミ」
サクラに見惚れていたルミアは、シェイラの声に振り向く。
その瞬間
「きゃっ...!!?」
温かな腕の中に包まれた。
背中に回された腕が強く体を引き寄せる。
(な、なに...??)
困惑するルミア。
同時に胸が痛いほど音を鳴らす。
自分よりも頭一個分背が高いシェイラが、ルミアの白髪に顔を埋めるのが分かった。
すぐそばに彼の体温を感じる。
ドッドッドッと心拍数が明らかに増加していた。
シェイラに聞こえてしまうのではないかと顔を真っ赤に染め、それを見せまいとルミアは顔をシェイラの胸に押し当てた。
そんなルミアはお構いなしに、シェイラは一層力強く抱きしめ、そしてルミアにしか聞こえないような小さな声でそっとささやいた。
「生きてくれて、ありがとう...本当にっ...よかった...っ.........!!」
「!!」
耳を擽るかすれ声とその言葉に反応し、顔を上げるとかすかに震える肩が視界に入った。
びっくりしてさらに顔を上げようとするが、それはシェイラの手で自らの胸に押し返されできない。
「っ...よかったぁ...うぅっ...」
一生懸命、子供のようにルミアを逃がすまいと抱きしめる力を強めるシェイラの腕の中で、ルミアは無意識のうちに微笑んでいた。
美しい星々が降る夜空の中、サクラの木の下で二人は抱き合い、シェイラは声をあげて泣いた。
ひんやりとした風が二人を包む。
だが、二人の心はいつまでも温かかった。



