櫻の王子と雪の騎士 Ⅰ















一方その頃王宮では。




(............ルミア......)



「ちょっと、ジンノさん戦ってっ!!」



「...あ?」



「ほらっ!前ーー!!」



黒いローブを羽織った男たちが至る所に現れ、各所で壮絶な戦いが行われていた。



教会に残してきたルミが心配な為によそ見ばかりで全く本気ではないジンノ。



そんなジンノに業を煮やしてイライラするオーリング。



この二人を中心に、ほかの場所ではアルマやエルヴィス達補佐官が応戦していた。



闇の魔力を使うローブの男たちに苦戦を強いられながらも、なんとか対応し五分五分の戦いを繰り広げる。



オーリングは、何度倒してもゾンビのように次々と這い上がってくる敵たちに苦戦していた。



(ジンノさんが本気出したら一瞬でカタがつくのにっ!!)



光属性を使えないオーリングは、たとえ相手を倒せても根本的に倒せたことにはならない。



何度も何度も起き上がり、おまけに増え始めた彼らに更にイライラがつのる。



ジンノは教会のある方を眺めるばかりで、全く戦おうとすらしない。



故に、オーリングは現在王宮に押し寄せた敵をほぼ一人で片付けていた。




「〜〜〜ジンノさんっ!!!
ちゃんとやって下さい!!!」



「あー......」



(くっそ!!聞いちゃいねぇーー!!)



イライラが膨れ上がる。



おまけにこの猛吹雪。



ついさっきまで視界が遮られるほどだった。



今はだいぶましになったが、慣れない環境で戦いがやりにくい。



自然界の魔力を操るオーリングでも止めることができない。



一年中穏やかな春の気候を保つこのフェルダン王国で、天候が乱れるのはオーリングがキレた時か、新たな魔法使いが生まれた時のみ。



しかし、



(こんな天候が乱れたことなんて過去に一度もなかった...どこで一体何が起こっているんだ!?)



大粒の雪がオーリング達の体を打ち付け、熱を奪っていく。



得体の知れない何かが蠢いている、そんな予感がした。