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それからというもの、ほぼ毎日のようにルミアと男の子は約束を交わし、昼休みの間だけ会うようになった。
次第に二人の距離も縮まり、男の子も少しずつだが話をしてくれるようになっていった。
なんでも、ルミアの雪の魔法を見て感動して見ているうちに何とか話しかけたくなったらしい。
「これが好きなの?」
「うん!すごく綺麗」
白く細い手で遊ぶように雪を操るルミアを、男の子は隣で満面の笑みを浮かべ見つめる。
最初に出会った時からは考えられないくらい、明るく答える男の子は、もうルミアの前ではオドオドする事はない。
いつもの木の下で雪に埋もれるルミアを発見すると笑みを浮かべて駆け寄ってくる。
そして毎日のようにルミアの操る雪で二人は遊んだ。
いつの間にかルミアにとっても、その二人だけの時間はとても楽しくて大切なものになっていった。
そんなある日。
男の子がいつもと違うように見えた。
必死に普段通りを装ってはいるが、元気がない。
何かあったの、と尋ねると男の子はしばらく考え込んでから思い切ったように顔をあげた。
その表情はとても深刻そうで、一体何事かと構えていると、男の子はゆっくりと重い口を開いて
「僕...魔法が使えないんだ......」
と、言った。
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二人の間に沈黙が流れる。
一世一代の告白をした後のように、男の子はぎゅうっと目を瞑って、ルミアから返って来るであろう驚きと軽蔑の声を予想し体をこわばらせて固まっていた。
が、
「......何だ、そんなこと?」
返って来たのはそんな台詞で。
逆に男の子の方が拍子抜けしてしまう。
「そ、そんなことって...!僕、魔法学校に通ってるんだよ?それなのに魔法が使えないって、大問題じゃないの??」
必死にそう言って、ルミアの反応を伺うのだが、彼女の態度はいつもと同じで、男の子のほうが混乱してしまっていた。
「先生達...皆言ってるよ、僕は魔力が使えない子だって
出来損ないだって......」
どんどん暗い表情になっていく彼を横目で見ながら、ルミアは思っていた。
自分と彼は、よく似ていると。



