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そこは、魔法学校の裏庭。
森と言うに近いそこに、ルミアは座り込んでいた。
自分の居場所がない学校で、唯一この場所だけがルミアの憩いの場所だった。
うららかな春のような日にも関わらず、自らの魔力で辺りを雪景色に変える。
「はぁ......」
今日もまた、退屈でつまらない1日が始まる。
そんな憂鬱な気持ちで溜息をついた時だったか。
彼と、初めて出会ったのは。
「(......誰?)」
視線を感じた。
物心ついた頃から、ジンノと共に騎士となるための鍛錬を積んできた。
そのため、日頃から周りの気配を瞬時に察知するクセのようなものがついていた。
普段感じることのない、何者かの視線。
さっと辺りを見回し、その誰かのいる場所を探った。
(!!いた......)
大きな大木の背後。
そこに、誰かがもぞもぞと動いていた。
普段なら場所を探るまでに止め、それ以上の詮索をしたりはしない。
誰とも関わりたくない。
それが第一だからだ。
だが、その時だけは違った。
やけにその誰かが気にかかり、身を乗り出し、凝視した。
そして、ルミアの深い藍色の瞳が、その姿を完全に捉える。
それは男の子だった。
異常にオドオドしているにもかかわらず、どうにかしてこちらへ来ようと試みているように見える。
大木の後ろからぴょこっと出てきたかと思えば、数歩前に出てすぐ大木の後ろに戻ってしまう。
それを何度も何度も繰り返していた。
思わず吹き出してしまいそうになるくらい、その姿が可愛らしくて、自然と口元が緩む。
そうこうしているうちに、休み時間の終を知らせるチャイムが鳴ってしまう。
結局その日、彼はルミアの前に完全に姿を現すことなく、帰っていった。



